『普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?』 Berryz工房
Berryz工房 『普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?』 (Promotion edit ...
Berryz工房『普通、 アイドル10年やってらんないでしょ!?』についてのメモ。
誰かが歌わなければならなかったような、あるいはいつか彼女達が歌わなければならなかったのかもしれない曲。何故か分からないけど、ついに始まったという感触がある。 今まで誰もいなかった場所に、在るべき者が帰還するような、何かが始まる予感。
自分達が生きてきたことに人の言葉は借りないし、自分達を示す言葉は明確で、証は歴然とそこにあるという事の幸福と覚悟。そしてその場所から見つめる先はやはり愛なのだという確信。
なんでこんなに良い曲なんだろう。この歌詞でなければならないという確信がもう初回であって、もう見届けるしかないよという気持ち。
「それでもほら もうすぐ幕が開く」って歌詞をこんなにもカッコ良く歌えるの他にいるの?というような。動機なんかとっくに過去の遠い場所にあって、この先に何があるかも分からないけど、「アイドル10年やっちまったんだよ!」と。
熊井ちゃんの「石の上でさえ3年だよ」のところ、本当に優しく歌ってくれるんだけど、それでも迫ってくる何かがやはりあって、この重みは簡単には語れないんだとあらためて感じる。
別の人生を想いながら、長い年月を噛み締めながら、少しの感傷と過去を携えて彼女達は歌うのだけど、続ける「理由」を過去ではなく今この瞬間に求めていることにぐっとくる。だからこそ彼女達は最高にかっこいい。
過去があるから今突き進める理由を持てているのではない。振り返ったらいつの間にか前人未到の場所にいて、それは自分達の誇りであるけど、だけどもそれはこの歩みを止めない理由じゃない。「理由」を求めるのは今この瞬間であること。
間奏あけ(落ちサビ)の嗣永熊井のパート。歌い方は対照的なんだけどどちらもまさに彼女達の生き方そのもののようで、貫いてきた者の不変さ(嗣永)と、生身の人間としての可変さ(熊井)を見てしまう。特に熊井の「青春全部捧げて〜」は力強くてぐっとくる。
もう一度だけど、過去は理由じゃない。振り返ったら見える景色は自分達の誇りであるけど、だけどもこの歩みを止めない理由にはならない。理由を求めるのは今この瞬間であること。この道が正しいかは分からないけど、それは今日も自分を裏切らなかった。 「それでもやっぱ歌えば官軍」 彼女達は幸福なんだと思える。
そしてアウトロの可笑しみと微かな不穏さ。一転してコンテニューしますか?の時の音みたいになって、結局しないのかよって感じで終わっちゃう。そこには、ひとつの時代の終幕というより、今回もまたループから抜け出せなかった的なビターエンドのくたびれ感がある。少しの気だるさと共に彼女達の物語は続く。