「ちみがそ」の宿題

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『カリスマ』黒沢清

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黒沢清の『カリスマ』を久しぶりにみた。国内外問わず近年の映画で面白いなと思った部分が、途中さらっと放り込まれてたりするので驚く。特に吉田大八監督の『桐島、部活やめるってよ』と似ていた。

 『カリスマ』と『桐島~』の共通点。『カリスマ』は森から出られない、『桐島~』は学校から逃げられない。一方は外の世界が切り離されており、一方は学校の延長に世界がある。「カリスマの木」と「桐島」という、世界に意味を与える存在(と信じられるもの)を奪い合う物語。マクガフィン的性質。各勢力の間を横断する役所広司と宏樹(東出昌大)の存在。そしてラストの構図。携帯電話と、役所と宏樹が何かを見つめる姿。

『桐島~』ラストでの宏樹が見る光景。意味を見出せなかった世界が、残酷なまでに鮮烈に映し出される。『カリスマ』ラストでの燃え上がる世界。それは在るべき姿であり、世界はそれを取り戻したのだ、というような役所広司の眼差し。  

森の法則が役所広司を通じて伝染し世界の法則は回復したのだろうか。『カリスマ』では、役所の介入こそが世界を変容させたのではないかと捉えることができる。『桐島~』では、宏樹の気付きこそが旅の終着だった。前田(神木隆之介)の「俺たちはこの世界で生きていかなければならないのだから」という言葉があるように、はじめから桐島が不在であるということが、世界のありようそのものだった。

 

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桐島、部活やめるってよ

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