「ちみがそ」の宿題

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『ゼロ・グラビティ』


ゼロ・グラビティ

監督:アルフォンソ・キュアロン 出演:サンドラ・ブロック ジョージ・クルーニー

 

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ネタバレ。

 

 

(世界はいとも簡単にあなたを殺す)。(あなたはあなたの意志で世界と自分を切断することができる)。(であるならば)。スイッチを切れば終わることができる世界で、何故生まれ落ちたのか。娘は何故生まれ落ちて、バカみたいと思えてしまう理由で死んでしまったのか。何故誰でもなく娘だったのか、何故死んだのは自分ではなく同僚なのか、そのことと、重力のある場所へ、大気圏に突入し、水から這い上がり、大地を踏みしめることと何が違うのか。(違わない)。宇宙で漂流することと、あてのないドライヴ。宇宙を漂流しながら彼らは、向かうべき方向を定め、果てのない世界に消える前に、向かうべき軌道に自らを修正した。重力とは何か。私たちは何に引っ張られているのか。何もない世界=重力のない世界で、突き出した足の先に、方角はあるのか。乱暴に言うのであれば、踏み出した足の先に、「行き先」を生むものがたぶん重力なのだ。世界は私が生きようと死のうと関心ないように、私は世界の非情を無視できる。無常を笑うことができる。私が生きようが死のうが、私は歩むべき道をつくりだせる。それは、生命の始まりが突き進むべき道であるように、あるいは赤子が生まれ落ちるように、自明なのだ。自明であるべきだと私たちは「帰還」する。発進と着地、生まれ出る場所と死に行く先。私たちは生まれたその瞬間から死に向かっているように、私たちは帰還しながらここに生まれたのだ。