(前半)モーニング娘。2018春ツアー【全曲感想】
モーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアー2018春
~We are MORNING MUSUME。~
2018年5月19日(土)NHK大阪ホール 夜公演。
全曲感想の前半。
1曲目『A gonna』(新曲)
不敵さは重厚を、覚悟はミニマムを与えながら、これはきっと未来を目指す彼女達が掴んだ新たなフォルム。『インターステラー』の主人公は「ノスタルジーは慣れない」と言っていたけれど、どうしようもなく今があり、過去じゃない、今の自分を見つめ得ること。直面する全てに【さあどんな挑戦を受けるかA gonna(えーがな)】のあっけらかんとした強さを。
幕開けから挑戦的な新曲、だけど間違いなく名曲で、【未来へ未来へ未来へアップデート】のところで思わず泣きそうになる。これは多分『青春小僧が泣いている』が眺めていた黄昏の、さらにその先(の景色への願い)ではないのか。私達の時代と終わり。私達は、どこから来たのかを知るように、このまま進んでいく先の「終わり」もまた知るだろう。その「終わり」を突き抜けるように、まるでファンタジーのような想像を、持てる全てを未知に向けられる創造を、私はきっと彼女達に願っている。
2曲目『ロマンスに目覚める妄想女子の歌』
まーちゃんの解釈による【抱きしめた後に口付けて 逃げるからその後すぐに追いかけて】の切実さと少しの痛みがとても良かった。この言葉は多分、ただ単にシチュエーションを求めているだけではないのだろう。あなたの想像はあなただけのもの。それはあなたの未来の為に、誰にも奪わせてはいけない唯一のもの。だから切実に歌い得るのだ。ロマンスは偉大さ。
3曲目『Fantasyが始まる』
道重さゆみパートを引き継ぐ牧野真莉愛。当然として道重さゆみと牧野真莉愛はまったく違うことが分かる。だけれど牧野真莉愛がトレースすることによって、お互いのパフォーマンスが発していた攻撃性、それぞれが世界にどう挑発し得ていたかが、くっきりと浮かび上がってきた気がした。面白い。そして牧野真莉愛の完成形はまだ見えない。まだまだこれからがきっと面白い。
4曲目『青春Say A-HA』
変化と歴史とこれからと。戸惑いと願いと見果てぬものの渦中にいる、まさに彼女達の現在。そのめまぐるしさの中を、例えば【少々まとまった顔立ち】という始まりのソリッドから、【まっすぐ生きるってなんか難しい】の青春らしさまで、自由に行き来してしまう。彼女達の強さ。間奏明け、荒ぶる魂を束ねるようにユニゾンで突入していくのが【コソコソ恋愛(LOVE)っての何か燃えるけど バレなきゃいいってそんな意味でもない】なのが、とても奇妙でいて、やはり青春の最中なのだ。
5曲目『Password is 0』
「what goes around comes around」ミーツ譜久村聖の2018年バージョン。良い。
6曲目『花が咲く 太陽浴びて』
フォーメーションダンスにあまり興味がなかったけど、人間が蠢くことによって形作られる花の姿が、美しくも不気味だった。練度を上げるほど奇妙になる楽曲では。
7曲目『Help me‼︎』
夢見るだけじゃ簡単さ
全身で答えてよ
口約束はNO Thank you
住みやすい国(とこ)にしてよ
『Help me!!』 モーニング娘。
ただ待っているだけの女の子の歌が、何故こんなにもかっこいいのか。何度も観てきた定番曲だけど本当にかっこよかった。世界が劇的に変わる事を待っている。だけどきっとただ受身なわけじゃない。自らの願いを解放し「世界よ呼応せよ」と歌っているのだ。【諦めちゃ負けを認めちゃう それだけは出来ないの】と歌うのが良い。待つ者達の夢。世界が呼応しなければそれは見ることはできないが、諦めはしない。自分を信じて、世界を信じている。
8曲目『愛の軍団』
【世間を知らず 街を飛び出し】の時の小田ちゃんのアクセントを観察しているけど(前回のツアーが最高だった)、少し落ち着いた印象。もっとごりごりにいってほしいけど、私には分からない彼女なりの新しい課題がありそうなので、何も言わずに観続けるしかない。
9曲目『モーニングコーヒー(20th Anniversary Ver.)』
速い。でも慣れた。
10曲目:ユニットメドレー
『シャニムニパラダイス』~『レモン色とミルクティ』~ 『トキメクトキメケ』~『INDIGO BLUE LOVE』~『坊や』~『大人になれば大人になれる』
10-1 『シャニムニパラダイス』(小田・羽賀・加賀・森戸)
あのコミカルな振り付けと森戸が合わさることの絶対的価値が全てを持っていくので言うことがもうない。と思っていたがトゥルトゥルトゥルのコーラス部の陽気さにやはり泣けてしまう。
楽しい楽しい夏休み
ずっとずっとしたかった夢がある UH
楽しい楽しい夏休み
遮二無二(しゃにむに)LET'S GO!
パラダイス
遮二無二(しゃにむに)LET'S GO!
パラダイス
約束の場所がずっとあったのだ。誰のもとにも必ずやってきて、迎え撃つように自らの願いをぶつけなきゃ嘘だって思えた時間があったってこと。私は忘れすぎていた。そんな無敵さがやはり目の前にはあったのだ。
10-2『トキメクトキメケ』(譜久村・生田・飯窪・石田)
これもめちゃ良かった。年長組4人による、ルーキー達にはない「固ゆで」のクオリティ。酸いも甘いも知った者たちの、或いはこの場所を最も長く知る者たちの手堅さそのもので見せてくれる、カラフルでくどいほどのスイート。4人のキャラクターも、それぞれが与えてくれるものも、はっきりしていて安心してしまう。不確実な未来への淡い期待などいらない。そんなものは与えてやらない。この今にもう全部用意してやるのさというような、曖昧のなさと、だからこそ分かる強さや優しさがある気がして、かっこよかった。
10-5『坊や』(譜久村・飯窪・佐藤・尾形・牧野)
個人的に待望の曲。この時期の曲を聞くと、何故かざらついた気分になる。当時の熱狂を思い出してなのか、曲自体の妖しさなのか。だけど道重のコーラスが強すぎるので、完全体のアップデートを早く観たいとも思った。あと10-5から10-6の繋ぎ方がめちゃ良かった。
10-6『大人になれば大人になれる』(生田・石田・佐藤・野中・横山)
パフォーマンスの必然として、自らの獰猛を隠さない。今回のツアーのまーちゃんはまるでそんなテーマで動いているかのよう。自らが触れ得る芸術の為に。或いは願いの形を凶悪なほどに体現し得る為に。とにかく最初のパートを歌うまーちゃんがめちゃかっこいいから観て。めちゃ観てくれ。
前半はここまで。後半へ続く。
Are you Happy?/A gonna(初回生産限定盤SP)(DVD付)
- アーティスト: モーニング娘。'18
- 出版社/メーカー: UP FRONT WORKS Z = MUSIC =
- 発売日: 2018/06/13
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
モーニング娘。'18『A gonna』(Morning Musume。'18[A gonna])(Promotion Edit)
モーニング娘。'14『Password is 0』(Promotion Ver.)
モーニング娘。 『愛の軍団』(Morning Musume。["GUNDAN" of the love]) (MV)