(後半)モーニング娘。2018春ツアー【全曲感想】
モーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアー2018春
~We are MORNING MUSUME。~
2018年5月19日(土)NHK大阪ホール 夜公演。
全曲感想の後半。
1曲目〜10曲目はこちら。 sportmax06.hatenablog.com
11曲目『通学列車』(生田・佐藤・野中・牧野・羽賀・横山・加賀)
中盤にいつもあるフレッシュ枠。
【今日も逢えるかな 通学途中 彼に逢えるかな いつもかわいいスニーカーを履いている人】という歌詞の素晴らしさ。
12曲目『純LOVER』(譜久村・飯窪・石田・小田・尾形・森戸)
この曲の好きな部分、というかこの曲に対して「好き」が確定する部分は、【純LOVER】という短いフレーズが過ぎ去っていく時なので、聴き逃しちゃいけない。たしかふくちゃんだったかな。潤いと安心を与えてくれる。
13曲目『Hand made CITY』
前ツアーの『THEマンパワー‼』を思い出さずにはいられない、小田とまーちゃんの応酬。『THEマンパワー‼』での二人には、まるで生命とは過剰であり、技術とは未来を見知る為の当てのない手段なのだと示すかのように、うねりと原初感があったけれど、『Hand made CITY』は直線的でアグレッシブ。単純にかっこいいし、スノッブを家に置いて出かけられる数少ないコンサートのひとつであるハロプロでやはり輝ける曲だと思った。
14曲目『愛され過ぎることはないのよ』
サビである【愛が愛が愛があるから 生きて行けるの】の冷静と情熱、そのかっこよさを味わうことができてよかった。「愛」という言葉を重ねるほどに執着しながらも、「生きて行けるの」では(だって当然だろうと言うくらいの自明さで)惰性を厭わない、気負わない、諦観とはまた別の安穏すらあるのが良い。
15曲目『なんにも言わずにI LOVE YOU』(生田・石田・小田・牧野・羽賀・加賀・森戸)
何が起きたのか定かではない歌詞。歌詞の(文字数としての)情報量は少なく、また、一方だけで行き来する会話を聞くように断片的。【ねえいつでもそんなに優しいの?でね あの日の涙はマジなの?】とは何のことだろう。或いは【ねえ誰かに聞いたわあなたのこと でも直接聞くまで信じない】からの【なんにも言わずにこれからも大切にしてね なんにも言わずにこれからも これからもI LOVE YOU】は、ほぼ呪いではないかと言われても私は否定できるだろうか。でもそんな曲を、まるでの『Be Alive』のように歌う。【いつか笑いの絶えない自由な時代が嫌なことなど吹き飛ばすさ 君を悲しくさせない時代】のあの歌。あの瞬間の希望に満ちたステージのように歌う。
たとえ私のもとからは離れてしまっても(あらかじめ近づいてもいなかったとしても)、あなたはあなたのままその優しいまなざしで、世界を見ていてくれないか。やはり歌詞のことは分からないけれど、例えばそんなことを歌っているのではないかと思えた。「私」の不在の歌。だけどそこには『Be Alive』のような願いがあった気がした。
16曲目:アンケートメドレー
『One・Two・Three』〜『泡沫サタデーナイト!』〜『わがまま 気のまま 愛のジョーク』〜『みかん』〜『What is LOVE?』
16-2『泡沫サタデーナイト!』
コンサートの後半だからか、或いは演じながら同時に(挑むにはどうしたって生身さを示してしまう)アスリートのような姿を見せてくれたからか、どうしてもこれは「泡沫」であって「泡沫」じゃないと思えてくる。過去と未来から切り離した一瞬の狂騒ではなく、これは昨日までの努力が辿り着いた明日への情熱なんだって分かるから。
永遠に続く歓喜をこの場所に作ろう。私達はきっとここを離れてどこかへ行く。だけど振り返ればいつでもある場所をここに作ろう。確かに歓喜はあったのだ。絶え間なく続く日常の様に、私達は確かにここに繋がっているのだ。
16-5『What is LOVE?』
(メドレーであるから)前の曲が別の何かになろうとする音を聴きながら、次の曲を待っている。それは唐突に判明し、譜久村【たった一人を納得させられないで世界中口説けるの】のただ一人から始まり、その間、他の音は減らされている。少しの静寂(もしくはただの音の隙間で私の錯覚だろうか)のあと、「あらかじめの楽曲」が音を引かれて書き換えられたように、ここからは書き加えられる。まーちゃんの煽り。会場とメンバーのボルテージを上げる、この瞬間の為だけに与えられた言葉。歌詞ではない言葉。そしてすぐさま「あらかじめの楽曲」が再び始まる。
この数十秒間、めちゃ良かった。なにより、まーちゃんの煽りと、「あらかじめの楽曲」の再現(つまり音楽性)と、それぞれから私の中に与えられたものは、はたして違いはあったのだろうかということ。私の知る音楽と、まーちゃんのそれに線を引くものとは何かという新たな疑問。刺激的な時間だった。
17曲目『SEXY BOY』
発売当時を知らないけれど、その始まりから可笑しさのあった曲は、一体何が変わったというのか。いやただ時代だけが気まぐれに変わっただけなのだ。この曲から受け取るものは少しも変わっていない。現在が何年だろうが鳴り出してしまえば、つんくという作家の強さを証明してしまう。
18曲目『ラブ&ピィ~ス!HEROがやって来た』
ステージを観ているのが楽しい。【大好きよ 超大好きよ】、それがただ純粋に響くように、この空間を愛することに遠慮や躊躇いを忘れてしまっていた。
19曲目『ジェラシージェラシー』
アンコール前の最終曲。意外だったけど、「これが私達の新たなスタンダードですので」と宣言するかのようで頼もしかった。『One・Two・Three』や『What is LOVE?』のような爆発力はないけど、今の彼女達の重厚と優雅を放つ、ラストに相応しい曲。きっとここからどこにでも行けるだろう。どこでも行ける力とは、どこでも行ける意思である様に。限界に安堵してしまえる弱さは彼女達にきっとないのだ。何かになろうとする意思に貫かれる、とても美しい曲だった。
20曲目『Are you happy?』(新曲)
すごい好きだから、すごく悲しい。
一緒にいた後は、不安しかない。
1曲目で披露した新曲『A gonna』、アンコール後にもう一つの新曲として『Are you happy?』。
『A gonna』よりも更に挑戦的な楽曲だ。晒された自らの感情に対し、私はあまりに臆病で、心許ないままでいる。「ここに達したら終わり」というのはきっとないのだ。愛のエゴはそのまま、気まぐれはいつだって未来を襲い、あなたという混沌は剥き出しのままである。打ち鳴らされ、舞いながら、根源が呼び覚まされていく。一方で、寄る辺ない不安も膨れていく。その混沌の感覚が、彼女達の覚悟と、願いの先がどんな場所にあるかを知らせてくれる。共振の興奮と恐怖と共に。
21曲目『青空がいつまでも続くような未来であれ!』
【長い長いこの地球に歴史がある 少しだけどこの私も一部だわ】とか【心を素直に叶えようよ興味あることからでも 愛があれば美しいでしょ!】の歌詞が本当に好き。 優れた歌詞とは何か?という問いがもしあるとするなら、その答えのひとつは、ずっと言ってほしかった言葉だけどずっと気付けなかった言葉であると思う。「愛があれば美しいでしょ!」なんて、どれほど素晴らしいか。
以上、めちゃ楽しいコンサートでした。(こんなすごいのにステージ以外ではこれだぜ)
Are you Happy?/A gonna(初回生産限定盤SP)(DVD付)
- アーティスト: モーニング娘。'18
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